呼吸

呼吸生理 その3

呼吸のお話はまだまだ続きます。

今回は換気の仕組み、呼吸はどうやって調節されているかについてお送りします。

 

換気のしくみ

私たちは息を吸って吐いてと呼吸をするとき筋肉が用いられてます。

どんな筋肉が使われているというと

1.横隔膜
2.肋間筋(外肋間筋、内肋間筋)
3.補助呼吸筋(胸鎖乳突筋、斜角筋、大胸筋、前鋸筋、腹直筋、外・内腹斜筋)

この3つが呼吸筋と呼ばれる呼吸にかかわる筋肉です。

主に安静時に用いられるのは横隔膜です。

横隔膜が収縮することで、横隔膜は下に下がり胸郭が広がることで陰圧にし空気を取り込みます。

反対に弛緩することで横隔膜は上がり、かつ肺の縮もうとする力も相まって空気を吐き出します。

吸気時:横隔膜は収縮
呼気時:横隔膜は弛緩

肋間筋は外肋間筋と内肋間筋があり、役割が正反対となります。

肋間の間にある筋肉なのですが…お手持ちの資料やネットで筋肉の走行をみてください。(不親切ですみません。イラストを書くのが苦手なものでして^^;)

肋間の間にあり、また外肋間筋と内肋間筋はクロスするようにあります。

役割としては肋骨を持ちあげたり押し下げたりという運動を行います。

肋骨が持ち上がることで胸郭が広がり、肺は伸びて空気を取り込みます。

反対に肋骨を押し下げることで胸郭は狭まり肺は押し縮められます。

吸気時:外肋間筋が収縮し、内肋間筋は弛緩することで肋骨が持ち上がる
呼気時:外肋間筋が弛緩し、内肋間筋は収縮することで肋骨が下がる

内肋間筋が使われるのは主に意識して強く息を吐くときのため、安静時ではあまり用いられません。

そのため呼吸運動自体は横隔膜+外肋間筋で行われています。

さて補助呼吸筋とはなにか…補助という言葉が使わている通り

深呼吸など大きい息をしたいときに使われます。

補助呼吸筋を用いなければ呼吸ができない人ということです。

 

 

フィジカルアセスメントにつながる話となりますが、呼吸の評価はとても大切です。

呼吸生理その1で簡単にしか書いてませんが、生命活動に必要な酸素を取り込めず、場合によっては二酸化炭素を吐き出すこともできない状況です。

ほっておき最悪の場合、心肺停止に至る可能性もあります。

訪室した際、VS測定の際に呼吸様式の変化を見逃さないようお願いします。

またフィジカルアセスメントの記事で呼吸評価について書きたいと思いますね。

 

話は少し脱線しましたが、ところで…

「皆さんいつも意識して呼吸をしていますか?」

無意識のうちに息をしていると思います。

でないと夜中寝ているときに呼吸停止で死んでしまいますよね。

呼吸の調節機構について

呼吸が意識なくできているのは、呼吸中枢が興奮して呼吸筋を刺激しているためです。

呼吸は神経性調節を受けており、その機序には①随意調節、②自動的調節の2つがある。随意的調節の中枢は大脳皮質で、ここから呼吸の運動ニューロンにインパルスが送られる。自動的調節の中枢は延髄と橋にあり。主に動脈のph(水素イオン指数)、PaO2(動脈血酸素分圧)、PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧))のレベルを判断して呼吸運動をコントロールしている。”「医学書院ー機能障害からみたからだのメカニズム」より

僕なりの解釈で説明すると…

頭は中枢機能でありコントロール系

脊髄、末梢神経、呼吸筋を駆動系

と分けてみると

コントロール系が命令し、駆動系はその命令を感知し呼吸筋の運動が行われ、ガス交換が行られる。

ということだと思います。

コントロール系がどのように成り立っているかというと、

体の恒常性(ホメオスタシス)を保つために、また酸素をしっかり取り組むために動脈血のPh,PaO2,PaCO2を感知しています。

体は上手いことできていて、化学受容器とよばれる動脈血のPaO2やPaCO2をモニターしています。

異常があれば呼吸様式を変更させ、是正させようと働きかけます。

化学受容器の他にもありますが詳しく知りたい方は解剖学の本でも読んでください。

 

呼吸運動(自動調節)の中枢神経は延髄と橋にある。

頭蓋内病変などで呼吸停止や失調性の呼吸をきたすのはこのためですね。

呼吸筋を動かしている神経ですが

横隔膜ではC3~C5

外肋間筋やな肋間筋はT1~T12

が関わているため頚損などで人工呼吸が必要となるのもこのためですね。

呼吸のリズム異常がある場合は、中枢神経の疾患あるいは血液ガス分圧やPhの異常をに伴う呼吸性代償が強く疑われる

本日は以上です。
閲覧ありがとうございました。

次はガス交換障害、低酸素をきたす状態について書きたいと思います。

acworksさんによる写真ACからの写真